2023.03.20

絹月だより Vol.3

吸水、サニタリーインナーのものづくり現場

 

昭和34年より、奈良県でサニタリーショーツをメインとして衛生アイテムをつくり続けるY社さん。

ルナシルクの「シルクと和漢植物の吸水まいにちライナー」は、全てこのY社さんの奈良県の自社工場で生産されています。

丁寧に職人さんたちが製品を縫い上げていく、その技術や背景についてお伺いしました。

 

創業60年のサニタリーショーツメーカー Y社さん

昭和34年(1959年)に奈良にて生理用品の付属替ゴムの生産メーカーとして創業。

その6年後には、工場を新設し生理用ショーツ(サニタリーショーツ)の生産を本格的にスタート。

創業以来、サニタリーショーツの生産に特化しならが、高い縫製技術を活かして女性用インナーの生産も拡大中。

また、サニタリーショーツの「吸水力」に関しては、独自の技術を開発し、漏れない構造で特許を取得したアイテムも。

「今を生きる女性たちのニーズにお応えして、女性の生活をアクティブにまた安心安全を提供し、女性の美しさや活き活きとした活動を応援し続ける」をモットーに日々新しい商品を作り続けている。

 

インタビュー

ルナシルク:

御社がサニタリーショーツに特化してきた背景には、どのような歴史があるのでしょうか?

Y社さん:

奈良県は、古くから婦人用の衛生帯(月経帯)が地場産業として発展していて、当時は全国の90%の生産量を占めていました。

戦後、紙ナプキンの普及により衛生帯自体の生産は減少してしまいましたが、ゴムなどの樹脂を使用した防水、縫製の技術を活かして、赤ちゃんのおしめカバー、ガウンやインナーの生産が増えていきました。

その後、サニタリー用品の需要拡大に合わせて、防水の知識とインナー縫製の技術を活かして、サニタリー系インナーや吸水系インナーの生産に力を入れてきました。

創業に扱っていた衛生帯は、時代や技術の変化で商品自体が市場から消えてしまったアイテムではありますが、我々には「サニタリー用品に力を入れていたこの地域の地場産業を守っていく責任がある」と考え、現在に至るまでこの分野に注力してします。

 

 

ルナシルク:

「シルクと和漢植物の吸水まいにちライナー」に使用している透湿防水布は御社オリジナルの生地です。この生地の特徴はどのような部分でしょうか?

Y社さん:

サニタリーショーツ、吸水ショーツ共に、機能の一つとして「漏れを防止する」という点が挙げられます。

漏れを防ぐのであれば、ショーツのクロッチ部分に雨具に使用するような防水布を使用する方法もあるのですが、ショーツは肌着であるため、そのような防水布を使用すると蒸気がこもり蒸れや不快感が発生します。

そのため、肌着として快適性を保つように、湿気は通して水分は通しにくいという特性がある「透湿防水布」と呼ばれる生地を使用します。

この透湿防水布は、一般的にはポリエステル等の化学繊維に樹脂加工を施したものがほとんどですが、弊社では更に快適性を高めるために、綿100%生地に樹脂加工を施したオリジナルの透湿防水布を開発しました。

この生地は、綿の肌触りのよさ、吸湿性保温性を活かしながら、防水効果もあるという付加価値の高いものです。

 

ルナシルク:

サニタリーショーツ、吸水ショーツは他のアパレルアイテムと比較して、生産時にどのような難しさ、また注意すべき点があるのでしょうか?

Y社さん:

サニタリーショーツ、吸水ショーツは、他のアパレルアイテムと決定的に異なる部分は、「肌に直接触れる」 「漏れを防止する」 という点で注意と対策が必要です。

人の皮膚に直接触れる肌着は、小さな異物でも違和感や痛みを感じます。そのため、弊社では熟練の検品担当者が製品を一つひとつ検品し、さらにその後に検針機を使用して異物チェックを行っています。

また、水分はほんの小さな隙間からも漏れてきてしまうため、縫製時の針の太さ、針穴の大きさ、位置にも弊社独自のノウハウを展開しています。

 

 

ルナシルク:

御社が、専門メーカーとして一番大切にされていることは何でしょうか?

Y社さん:

インナーを作り続けるメーカーとして最も大切にしていることは、「安心して身に着けて頂ける」ということです。

弊社の商品を使用して頂いたお客様が「安心できる」と感じて頂き、さらに「また、ここの商品が欲しい」とファンになって頂けるようなものづくりを目指しています。

また、近年では吸水ショーツを初めてとしたフェムケアアイテムの需要の高まりを感じています。

弊社の持つ技術を活かして、このニーズにお答えし、女性のみなさんの活動を応援したいと考えています。

 

 

 

編集後記

奈良県にサニタリー商品の地場産業があったことを、恥ずかしながら今回の取材を通して初めて知りました。

古い時代のサニタリー商品から始まり、時代とニーズの変化に合わせて様々な技術で新しいサニタリー商品を開発してきたY社さんの歴史が、製品の安心や信頼に繋がっているのだと感じるお話でした。

地場産業を守りながら、女性にのライフスタイルを明るくしたいというY社さんの皆さんに縫製して頂いている「シルクと和漢植物の吸水まいにちライナー」がたくさんのお客様に届くきますように!