2023.03.17
絹月だより Vol.2
老舗のシルク専門商が考える、肌とシルクとは
明治30年より、京都西陣でシルク問屋を営む老舗糸商のN商店さん。
ルナシルクの「シルクと和漢植物の吸水まいにちライナー」に使用しているシルク生地は、全てこのN商店さんのオリジナル生地です。
肌に【ゆらぎ】が起こりやすい世代のために、N商店さんが肌に優しい糸を厳選し、国内で丁寧に生地として仕上げて頂いています。
シルク糸、生地の専門家であるN商店さんに、シルクと肌の関係についてお伺いしました。
創業120年のシルク問屋 N商店さん
明治30年(1897年)に京都西陣の地でシルク生地の機屋として創業し、その後シルク糸を扱う糸商として発展。
創業以来、特色ある糸づくり・製品づくりにこだわり、絹糸(シルク)については紡績絹糸(絹紡糸、特絹糸、絹紬糸)や柞蚕糸などの野蚕糸など様々な糸を使用した意匠撚糸などを展開している。
「華美な装飾や誇張のない、素朴で誠実なものづくり」をモットーに展開する、シルクの自社ブランド製品(日本製が中心)の売り上げも好調。
インタビュー
ルナシルク:
糸商の方から見て、シルクという素材はどのような繊維なのでしょうか?
N商店さん:
シルクは、化学繊維(ポリエステル、レーヨン等)が登場するまでは、自然界で手に入る繊維の中で唯一の長繊維でした。
一つの繭から、1500メートル近くの長い糸を取ることができる、細くて長い、しかも柔軟性がある強い糸です。
糸が細く長いことで、細かな編み目で生地を織ることが可能となり、なめらかな織物を作ることができます。
また、植物系繊維の綿・麻や、獣毛系繊維の羊毛等と比較すると、軽く柔軟性があるため、ふわっとしなやかな仕上がりとなります。
シルクというと高級な着物や帯のイメージが強いのですが、このような特性を活かし、昔から襦袢などの肌着にも使われる素材でした。
ルナシルク:
一般的に、シルクがお肌に優しいと言われるのは何故でしょうか?
N商店さん:
生地の表面がなめらかに仕上がるため、肌触りが良くお肌への刺激が少ないということもありますが、シルクには高い保温性、通気性、放湿性が備わっているからです。
シルクの糸は、1本の糸の中に無数の小さな穴が集まってできている「多孔質繊維」と呼ばれる特殊な構造です。この無数の小さな穴が、通気性を高めながら、湿度や温度を快適に保つ役割を果たします。
この構造により、シルク生地の衣服は、蒸れず、暑すぎず、寒すぎずという快適さを生むため、お肌に優しいと言えます。
また、シルクは天然のタンパク質でできた糸です。
主にセリシン、フィブロインというタンパク質からできているのですが、人間の肌も同じタンパク質でできているため、素材として非常に人の肌への親和性が高いと言われています。
こうした観点からも、シルクという素材は天然の機能性繊維でありながら、お肌にも優しいという優秀な繊維です。
ルナシルク:
「シルクと和漢植物の吸水まいにちライナー」に使用している生地にはどのような特徴があるのでしょうか?
N商店さん:
今回選んだ生地は、フライスと呼ばれるニット生地で、シルク糸の中でも細いタイプのもので編んだ伸縮性の高い生地です。
シルク100%でできている、弊社オリジナルのニット生地になります。
シルクの肌刺激性の低さも活かしつつ、伸縮性があることでフィット感も得られることから、インナー類にぴったりです。
身体の動きに合わせながら、肌環境を快適に保つことができるので、今回の製品用の生地に適していると思い選んでおります。
ルナシルク:
N商店さんが、糸商として一番大切にされていることは何でしょうか?
N商店さん:
まず、第一にお客様に対しても、ものづくりに対しても「誠実であること」です。
屋号には、創業者の名前から「忠」の一文字が使われているのですが、この漢字を分解すると「中」「心」となり中心となります。
そのことから【まごごろ】、また【心に中る(あたる)】とも読めます。
弊社は、この屋号の文字が示すように、まごころをもって誠実なものづくりをモットーとしています。
また、シルク生地の需要が減少傾向にある昨今、この業界を残し支えてゆくという思いもあります。
編集後記
創業当時から京都西陣の同じ場所で糸商をされている事務所には、長い歴史と受け継がれてきたポリシーを感じることができました。
屋号の示す通り「お客様に対して常に誠実にまごころを持って」というお話は、N商店さんのつくる商品に現れていると感じます。
「シルクと和漢植物の吸水まいにちライナー」に使用している生地は、N商店さんのこだわりが詰まったものです。その肌触りや機能性を多くのお客様に体感して頂きたいと思っております。